アホアホ怪獣図鑑

主に日本以外のくだらない怪獣や酷い怪物をご紹介。
第16回 もう一度あけてくれ
ドクターフーの嘆きの天使

第一次怪獣ブームをまきおこすきっかけとなった「ウルトラQ」は、最初の放映の時、編成の都合で28番目の最後の1本だけが放送されませんでした。ただ、今と違って情報のゆきとどかない昭和41年ですから、一介のジャリにすぎない私はそんなことを知るよしもなく、「Q」は27本、と思っていたわけです。
ところが1年ぐらいあとでしょうか、夕方何気なく再放送の「ウルトラQ」をつけると、いきなり見たことのない、しかも「悪魔っ子」ぐらい気持ちの悪い、かつSFな話が!!ゲゲゲゲゲッ、と驚く夏の夕暮れ。この話が、第28話「あけてくれ」でした。このときの衝撃が、私の中に「ウルトラQはまだもっとあるんじゃないか妄想」を、強烈に形成します。

後年「アウターリミッツ」を再発見したときに、やっぱり外国にウルトラQがあったのだ!、と思いました。イギリスの「Out of This World」もそーなんじゃないかなーと推測したりはしてるんですが、ただまあ、数年前の本家のリメイクは別物でしたし、SFマインドの細った昨今の新作では、「Q」にはならないだろうなー、と思っていたわけです、ドクター・フーの第3シリーズ第10話「Blink」(2007)を見るまでは。

この回に出る怪獣は、ただの天使の像です。正直、写真だけ見てもぴんとこず、欧米のフィギュアショップで一番に売り切れるのがさっぱり分りませんでした。ですが、見た後では最低4ヶは欲しくなります。
いやー造形の仕事してる私がゆーのもなんなんですが、大事なのはおはなしと状況で、キャラクターのデザインなんてほんとは、もんのごっついどーでもいーことなんじゃないでしょうかねー。

今回は、宇宙開闢の頃から存在するロンリー・アサシンという怪獣が、ロンドン廃園の”嘆きの天使像”に擬態した姿で現れるのです。此奴は必殺技クォンタム・ロックで身をまもり、狙った相手を過去に転移させてその時空ポテンシャルエネルギーを食う、などという量子論を活用したバカSFアイデアの結晶です。襲ってくるときも、ものすごくバカげているのに怖い、という。

本編も、(勿論全部見たわけではありませんが、)ドクターフー46年の歴史上で最高の傑作と思われます。ドクターはほとんど出ず、現代の女の子に奇怪なかたちで謎のメッセージが届き続けるストーリーはよくできたホラーな感じですが、そこへ1本によくこれだけ、というくらい次々に量子論と時間SFアイデアが連発されます。ヒューゴー賞ノミネートも当然でしょう。

いやー、もし世の中がもう少し違って、いまでも日本で「ウルトラQ」がちゃんとSFとしてつくられていたら、こんなのができていたかも、と、トホホ思ったりもしました。
さらに驚くことに、、開巻17分あたりで、今回の主役の女の子が雨の中を警察署に入っていく場面でかかっているBGMが、ウルトラQのテーマにそっくりなんですよ!
ホンの短い時間ですが、あまりにもデキすぎなので、びっくり。作曲者が意識したのでは無いと思うんですが、これで私の「もっとある妄想」がさらに強固なものになったのは言うまでもありません。

この回のシナリオを書いたスティーヴン・モファットは、2005,2006に担当した回でドクター・フーに2連続ヒューゴー賞をもたらした偉才。今年の「silence in library」前後編も好調です。再来年の第5シリーズからはエグゼクティブ・プロデューサーになるらしいので、期待するのであります。

| 地獄塗装米田武志 | - | 00:59 | comments(3) | trackbacks(0) |
第15回 脂肪の塊
脂肪の塊

先般NHKで放送されていたイギリスのテレビシリーズ「ドクター・フー」の今世紀版は、昔の旧シリーズとはえらい違いで、誰が見ても面白い良作でした(昔も、SFストーリーだけは、良かったんですが.....)。
本国では今第4シリーズが好評に放映中ですが、お前の管などのおかげで、異国異教徒のわたしらでもほぼリアルタイムに見れるのですねー。
今シリーズも、ドクターはデイヴィッド・テナント演じる10代目です。コンパニオンは、日本でいえば青木さやか?なキャスリーン・テイトに替われども、よく考えられたSFマインドや変チョコリンなアイデアは健在です。
今回の怪獣は、その第1話「Partners in Crime」(日本題を勝手につければ、「ふたりはちょっとヤバい」といったところでしょうか)に登場する、ブロブめいたかんじの、アディポスです。
此奴は、「3週間で体脂肪をとるサプリメント」としてヒトの体内にはいり、人体の脂肪分を自らの構成分子として増殖する宇宙生命、というバカアイデアの賜です。デブのひとの腹のへんから、きゅううっ、といって分離してきます。
オバQとコケカキイキイをたしたような可愛らしい姿は、是非キャラクター・オプション社で30cmくらいの1/1スケールぬいぐるみにして欲しいものですが、急速成長信号を与えるとデブのおばはんの全身をバラグシャッ、と破壊して多数のアディポスになったり、万単位のアディポスが通りの向こうからわらわら湧いてくるグロ感も、ドクター・フーの楽しいところです。
第4シリーズはこのあと、古代ポンペイ地下の溶岩怪獣パイロヴァイルや、アガサ・クリスティ対巨大蜂怪獣ヴェスピフォーム、吉本多香美状態のドクターの娘、まるで東映戦隊もののようなソンタランの作戦、ローズ・タイラー謎の出現など、いろいろうまいことやっています。きっとラストあたりでは、前シリーズで脱出したスカロカルト4人衆最後のひとり、ダレク・カーンがダヴロス博士を連れて帰ってくると思われます。
NHKさん、早く日本でも。

| 地獄塗装米田武志 | - | 11:54 | comments(1) | trackbacks(0) |
第14回 笑ふ男
muybien!

今回もメキシコですよ。
1971年製作「Santo Contra los Asesinos de los Otros Mundos」日本語では「サント対宇宙からの殺人者」でしょうか。いやーエル・サントが液体生物:宇宙キラーと闘うんですね。
アチャラでは不定形粘性系の怪獣をブロブ、と称しますが、細菌虫ヒドラゾーンなかんじなので、液体生物でもいいですよねこんなもん。
で、もうみなさん、こーゆーのがあるらしい、と知ってはおられると思いますが、その液体生物とは、ものすごい汚いでかい布地をかぶっただけの人々、激ナンチャッテ液体生物です。
その布地というのはですね、生地自体は多少伸び縮みしますが、上から全体に増粘剤をまぜたりまぜなかったりしたラテックスがテキトーに塗られたドログレイの代物です。それがいたるところメチャ荒っぽく縫われていて、ズタボロ布感ますます強調です。また、ところどころにあいた丸穴は、中のヒト用の覗き穴ですが、これだけ全く隠そうとしてない「穴」も珍しく、撮影中にバリバリはがれてゆくラテックスの壊れ箇所と区別がつきません。いやこんだけ工夫が無くて汚ならしい造形物も珍しい。
でまあ、こいつの中には、たぶん最大9人は入れますので、ウノ・ドス、ウノ・ドスと行進してたのでせう。

此奴に対して、世界一物凄いプロレスラー、エル・サントが闘うわけですが、先祖代々悪魔の処刑人と戦ったり、観客に若返りパワーを授けたり、何故か西部でレプラ強盗団を改心させたり、思いつきでタイムトンネルをつくって宇宙家族ロビンソンスーツのねーちゃんをドラキュラに面会させて血を吸われても助けなかったりする流石の彼も、触ると食われる大ズタ袋相手では逃げ回るばかりです。
悪のハカセの不条理超空間(ってゆーのかこれは!)で、変チョコ剣闘士らとエンエン戦ったり、ニャンゲンの悪もんと格闘はしますが、怪獣には、逃げ回ったあげく火山ガスもろとも爆破!、ではちょっと........

さらにさらに問題なのは、タイトル後に2番目に宇宙キラーに寝込みをおそわれるおっさん。寝てて、ハッと起きるとスグ眼前に宇宙キラーが!と、プハッ、と吹き出すおっさん!!
恐怖のあまりの笑いというのはありますが、このバヤイは、白目ゴジラに殺られる篠原ともえの一世一代の名演とは180度逆ベクトルであります。
.........いやー、あんまりにもヒドいズタゴミがミョロ〜ンと腕んとこらへんをのばしてきてて、笑うなとはいいませんよ。でもアップのフハ笑いって、東宝のロングで逃げる村人エキストラじゃないんで、NGなしってのはどーなのよ〜ニャ〜..........
| 地獄塗装米田武志 | - | 23:24 | comments(0) | trackbacks(0) |
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井上 雅彦
井上雅彦(著)
東京創元社(刊)

三丁目の夕陽の下は魔境。
これからは過去だ。